4月11日 令和4年度八幡平市メディテックバレーコンソーシアム」総会開催

2022年4月11日、岩手県八幡平市役所において、令和4年度の「八幡平市メディテックバレーコンソーシアム(以下、本コンソーシアム)」総会が開催されました。

本コンソーシアムは令和3年度から実施され、今年で2年目を迎えております。現地参加者9名、リモート参加者2名、一般傍聴者9名、合計20名。今回の総会では、令和3年度の事業実績・収支決算報告と合わせて、令和4年度の事業計画(案)・収支予算(案)が発表されていましたのでご紹介します。

目次

本コンソーシアムの設立経緯・抜粋

人口減少・高齢化という難問を抱える自治体に共通する【医療と福祉の持続可能性】に係る課題解決に向け、地元発の技術・サービスを活用した遠隔診療と遠隔見守り等の仕組みを実装するとともに、八幡平市におけるIT分野での人材育成、起業支援の実績を重ねる中で培われてきたネットワーク等を生かしながら、分野横断型の新たな産業基盤と専門人材の育成環境による「外から稼ぐ力」の源泉を確立することを目指します。

参照:2021年6月16日「八幡平市メディテックバレーコンソーシアム」の設立総会を開催いたしました

令和3年度事業報告

1:遠隔診療・見守り融合DX基盤の社会実装事業の企画、実施、支援

地域医療確保困難・見守り担い手不足の解決のため、見守りサービス「Hachi」を活用した遠隔診療・見守りの社会実装メソッドの確立を目的に行われた本事業。初年度にあたる令和3年は、八幡平市田山地区で行われました。

「Hachi」総モニター数は16 名(平均年齢78 歳、男性6名、女性が10名、独居者5 名)。合計5名の家族が見守りに参加しており、「Hachi」を通じて取得したデータは、見守りや望月医師による診療時の健康状態把握に活用されています。

計画KPIの達成率は以下の通りです。

計画KPI①遠隔診療によって医療アクセスを確保することができた患者数
目標:10人 実績:20人(達成)
計画KPI② 遠隔で無事見守ることができた参加者の割合
(平均装着時間 16 時間/日を超えているモニタ数/継続利用できているモニタ数単位:%)
目標:60% 実績:60%(達成)

2:前項の推進に係るAI・ICT人材育成事業の企画、実施、支援

令和3年度のスパルタキャンプは期間を3ヶ月に延長し、 Laravel編を14日間 (土日×7 週)、Swift編を10日間(土日×5 週)実施しました。連続して実施することで作成できるアプリケーションの幅が広がり、起業しやすくすることに成功。また、土日のプログラミング講義と合わせて平日に起業方法や先輩移住者の講話を行いました。結果、岩手県外から八幡平市への移住者4名、岩手県外から八幡平市近隣(盛岡市)へ1名移住し、そのうち市内IT企業へは2名が転職しています。

計画KPI③ 育成したICT人材からプロジェクトに参画した数
目標:2人 実績:4人(達成)

3:コンソーシアムが実施する事業への会員等の参加の促進

2021年10月20日の八幡平市メディテックバレーシンポジウム、2022年2月15日の中小企業団体中央会主催の知事との意見交換会、2月24 日の岩手県立中央病院主催の地域医療講演会、3月15 日のデジタル田園都市国家実現構想会議などにて情報発信を実施。しかし、初年度のため実績不足により追加参画が滞っているケースが多いことが課題となっています。

その他、コンソーシアムが実施する各事業の相互連携は理事会実施を中心に行ったこと、市内外への普及啓蒙活動として地域向け説明会3回、モニター向け健康セミナー4回等を実施したことが報告されました。

令和3年度収支決算について

会計基準に則り適切に処理されていたことが報告されました。
差引残高27,173円は次年度繰越です。

○収入の部

項目予算額決算額比較増減備考
負担金33,410,00033,410,0000八幡平市負担金
会費・
振込手数料
20,00030,00010,000@10,000円×3社
雑入03333預金利息
33,430,00033,440,03310,033 

○支出の部

項目予算額決算額比較増減備考
事業費33,410,00033,410,0000〇遠隔診療・見守り DX 基盤実 証事業 18,230,000 円
〇AI・ICT 人材育成事業 15,180,000 円
会費・
振込手数料
20,0002,860△17,140振込手数料
33,430,00033,412,860△17,140 

令和4年度事業計画(案)について・抜粋

1:遠隔診療・見守り融合DX基盤の社会実装事業の企画、実施、支援

令和 4 年度はプロジェクトの自立に向け、令和3年度に実施した無償提供から、Apple Watchの補助あり他は有償提供への切り替えを実施予定です。なお、デバイスは整備品・中古品を使い、すでに住民の方が持っている携帯回線を使うことで負担を減らします。また、従来の対面診療と、オフラインとオンラインを上手く組み合わせて医療提供を行うことの利点を市立病院と連携し情報発信や試験実施を行う予定です。その他処方箋ドローン配送の準備、携帯圏外の捜索支援実証実験を行う予定であることが発表されました。

計画KPI①遠隔診療によって医療アクセスを確保することができた患者数 目標:50 人(+40 人)
計画KPI② 遠隔で無事見守ることができた参加者の割合 目標:70%(+10%)

2:AI・ICT人材育成事業の企画、実施、支援

令和4年度はプログラミング及び起業に関する講義のカリキュラム強化が行われる予定です。また、定住に向けた支援体制の強化を実施し、移住希望者を経済的・心理的に支援できるようにすることが発表されました。

計画KPI③育成したICT人材からプロジェクトに参画した数 目標:5 人(+2 人)

3:コンソーシアムが実施する事業への会員等の参加の促進

八幡平市と同じ課題を抱える他自治体へのプロジェクト横展開、それによる八幡平市内への企業・資金誘致を目的とし、シンポジウムを行政向け、事業会社・投資家向け2 回行う ことが検討されています。なお、岩手医大薬学部からは既に研究連携の依頼を受けていることが公表されました。

令和4年度収支予算(案)について

令和4年度の収入・支出予算額は 35,537,890円。前年度より2,107,890円増額した理由は、遠隔診療・医療体制継続のためサポート体制強化、圏外対応実証実験を行うことによるものです。令和7年度に向け徐々に減額していく計画となっています。

質疑応答

質問1 (佐々木会長):スパルタキャンプ開催によるICT人材の育成に関して補足はあるか?

回答(高橋):前回のスパルタキャンプに関しては15名中4名が八幡平市に移住した。引き続き移住者の促進にも取り組んでいく予定である。
回答(中軽米):これまでの経験を踏まえ、参加者より意見が集まった。より参加者の満足度の高いスパルタキャンプの実施を計画している予定である。

質問2(佐々木会長):遠隔診療で曜日を固定した診療の実施は、医師側からの提案かいなか?

回答(兼松):提案に関しては、事務局と望月医師からの提案である。曜日を固定し週1回、もしくは月1回の実施を検討している。また、固定日と合わせてスポット診療も計画している。

質問3(佐々木会長):処方薬のドローン 発送実施における先行事例はあるか?

回答(石川):社会実装している地域はある。社会実装している地域のヒアリングを行い、八幡平市でのモデルケースとして具体的に問題点を洗い出し実装に向けて進めていく予定である。
回答(大西):八幡平市における飛行ルートを確定し、安全航行の証明を行っていく予定である。

質問4(佐々木会長):ドローン配送を実施した場合、費用面で採算はとれるか?

回答(石川):1ケースでは採算をとることは難しいが、広域で同じような課題を抱えている自治体との連携で、費用面で採算がとれる形にできる予定である。

本コンソーシアム事業で活用されている「Hachi」や、本コンソーシアムについて、詳しくは下記をご覧ください。